グランフロント大阪に笹岡由梨子らの作品が新たに展示。「ART SCRAMBLE」の第9弾をチェック
多くの人が行き交うグランフロント大阪で展開されてきたアートプロジェクト「ART SCRAMBLE」(アートスクランブル)。その第9弾として、笹岡由梨子らの新たな作品が3月18日より展示される。

大阪・梅田の中心地であるグランフロント大阪から、世界へ羽ばたくアーティストをサポートするアートプロジェクト「ART SCRAMBLE」(アートスクランブル)。その第9弾がスタートする。
同プロジェクトは、2021年3月にプロジェクト・ディレクターに椿昇を迎えてスタートし、グランフロント大阪を拠点に全国、世界へ羽ばたくアーティストをサポートしてきた。これまでに計27点(全8回)の作品が展示されており、大阪の名物と言える存在感を示している。
その第9弾を飾るのは、オブジェ1点、うめきた広場ベンチアート1点、うめきた広場大階段アート1点、メディア・アート1点、アートピアノ1点の合計5作品だ。
オブジェを制作したのは笹岡由梨子。笹岡は大阪府出身で、映像の中にある絵画との接点を探るべく、絵画における手の痕跡や筆致と近似した、高性能な CG映像にはない異物感や違和感を引き出し、独自のストーリーを紡ぐ作家だ。笹岡は南館せせらぎテラスに大型パブリック・アート《MUSE》を年間通して展示し、グランフロントをアートで彩る。

同作は、笹岡自身が時計の針となり、文字通り時間のメカニズムに組み込まれ、大阪の脈動する空間の中に自らの身体を刻み込むというもの。時間だけでなく、都市空間と個人の記憶がどのように絡み合い、私たちのアイデンティティを形成するのかを探る試みでもあるこの作品。笹岡自身の身体を時計のリズムに重ね、モザイクで表現された母の顔を配置し、数十年前の大阪のノスタルジーと現在の都市のアイデンティティを交錯させることで、過去と未来をつなぐ架け橋をつくりだす。
この作品をディレクション・キュレーションしたアーティスト・ヤノベケンジは、以下のようなコメントを寄せている。
「どこから見ても笹岡由梨子。」
こんなキャッチコピーが頭に浮かぶ程、彼女は唯一無二の個性を放つアーティストである。
クセの強い彫刻造形、視覚と聴覚に焼きつく映像と音響。その圧倒的な存在感は、大阪の喧騒すら凌駕し、観る者に「アートとは何か」という問いすら忘れさせる。
異様なまでのエネルギーに満ちたその表現は、作家としての長いキャリアを持つ私のプライドさえ揺るがすほど強靭だ。大阪・関西万博のスケールを遥かに超える熱量をもって、観る者を魅了し、圧倒するだろう。
その才能の爆発を、ぜひ目撃してほしい。
