2024.11.19

「ART IN THE PARK(工事中)」(Ginza Sony Park)開幕レポート。都市と公園を結ぶアートの姿を見る

2025年1月のグランドオープンに向けて、2018年より解体・新築工事を行ってきたGinza Sony Park。工事中の同施設を舞台に、玉山拓郎、SHUN SUDO、山口幸士といった、Ginza Sony Parkにゆかりのあるアーティストらの作品を展開する「ART IN THE PARK(工事中)」が12月1日まで開催されている。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より
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 2025年1月のグランドオープンに向けて、2018年より解体・新築工事を行ってきたGinza Sony Park(銀座ソニーパーク)。この工事中の同施設を舞台に、玉山拓郎、SHUN SUDO、山口幸士といった3名のアーティストが作品を展開する「ART IN THE PARK(工事中)」がスタートした。会期は12月1日まで。

Ginza Sony Park 外観

 玉山、SUDO、山口は、以前よりSony Parkにまつわる企画に参加してきたアーティストたちだ。今回は、8月に竣工したオープン前のGinza Sony Parkにおいて、銀座という場所や新しい建築空間とも相関するような作品が展開されている。アーティストらによる作品と工事現場が同居するユニークなこの空間を作品とともに紹介したい。

 同プログラムの開催中に一般来場者が立ち入ることができるのは、東京メトロ銀座駅地下コンコースフロアにあるGinza Sony Parkの地下2階から4階までの一部のエリアとなる。玉山拓郎は、その縦空間を貫くように「Static Lights(静光)」という名を冠した光のインスタレーションシリーズの最新作「Static Lights:Two Ellipeses」を展開。2色の光を放つ楕円が、建築空間内に露出している。

展示風景より(地下2階)
展示風景より(地下2階)

 玉山によると、同シリーズを含め楕円形の作品を制作したのは初めてのことだという。「この企画に参加する際、建築全体をひとつの空間として作品を埋め込むアイデアを真っ先に考えた。とくに地下鉄コンコースとも接続する地下2階エリアに重力を感じ、そこに引っ張られるように作品も変形していった」「アーティストがコントロールできない部分に作品の可能性を感じている。アイデアを実現するために、設営に携わる様々な人にご協力いただいた」とその詳細を語った。

展示風景より(1階)

 3階には、SHUN SUDOのアイコンとも言えるシリーズ「BUTTON FLOWER」より24点の新作群「Zephyr(西風)」が並ぶ。今年1年世界中を旅してきたというSUDO。24のキャンバスには、様々な土地で体験・体感した「それぞれの風」が描かれているという。Ginza Sony Parkの地下壁面や工事中の仮囲いを活用したウォールアート作品も手がけてきたSUDOならではの、パワーあふれるフロアとなっている。

展示風景より(3階)
展示風景より(3階)

 山口幸士による花畑をモチーフとした新作12点は4階に展示されている。山口も、同施設における工事中の仮囲いを活用したウォールアートを昨年手がけており、本作はそれを油絵として再構成したものだという。壁面の両側にはそれぞれ昼夜の世界が描かれており、打放しコンクリートや配管が剥き出しとなった無機質な空間に咲き誇る花々が互いの対照的な世界を浮き彫りにしているようでもあった。

展示風景より(4階)
展示風景より(4階)

 Ginza Sony Parkの構造は、ラフォーレ原宿などにも見られるいわゆる「スキップフロア」を採用。つまり、来場者は連続的につながる階段の途中で様々なアート作品に出会えるような楽しみがあるということだ。空間内を自由に回遊しながら、ぜひこの「ART IN THE PARK(工事中)」を体験してみてほしい。

 なお、SUDOと山口による作品は抽選による購入も可能だ。会場で作品を鑑賞のうえ、ウェブサイトより詳細を確認してほしい。